あたたかみ●

一瞬
さらっ
と脳内を流れて、しばらく経ってからやっとその意味がわかった。

今日の今日まで、本当は知らなかったんだ。
持って生まれた幸せとか不幸とか。
知ってるふりをして生きてきた。
当たり前のことだと信じて疑わなかったから。
なんて馬鹿だったんだろう。
人の気持ちなんか考えなかった。
愚かで、情けない気分。
魂が宇宙から切り離されたみたいで…
それでも愛を確かめたくて仕方ないんだ。
ほんと、苺がおいしい。

"憶えていて。
成らないことを知らずにいた、目一杯の木の実を。
あぁ、何気に想う。愛といたように…。
愛といるように。"
いつも二人で/中村一義