輪ん中の画家●


二重丸の中に隠れていたアメディオ
大きな赤い傘を差して
激しさを増した夕立に
春物のコートはびしょ濡れにされた
緑色の帽子だけが無事で
アメディオは不機嫌
絵を描きに行こう
けれど丘の上ぬかるんじまって
登ることも出来ないのさ

ひとつ輪を飛び越えたアメディオ
小さなぼんぼりで照らして
勢いを増した春風に
金色の太陽は思わず目を細めた
自分の光で水面が
キラキラなびいたから
その様を描きに行こう
けれど丘の上ぬかるんじまって
アメディオ先に進めないのさ

靴は沈む
泥の中に
胸は弾む
霧の端に
陽は沈む
陰の中に
声は弾む
光の端に