ヒトラーのにせさつ●

※映画感想ネタバレです。


久々に映画が観たくなって「ヒトラーの贋札」を観た。
第二次世界大戦中、ナチスドイツのユダヤ人収容所で行われていた、政府による贋札作り。
主人公の贋札名人サリーが、その才能によって上部から認められる辺りまでは、「ショーシャンクの空に」と似ていると思った。
違うのは、サリーが親衛隊に従って贋札を作り続ける理由。一人でも多くこの戦争を生き延びる、ただそれだけのため。
物語にはもう一人、重要な人物が登場する。印刷技師のブルガー。彼は贋札作りには自分の技術が必要と知っていながら、成功させないように邪魔をする。この任務が成功すれば英米経済は混乱、戦局は大いに傾くだろう。それは自分が憎むヒトラーに加担することである。たとえ自分の命や他人の犠牲を払っても、ナチスに勝利をもたらしてはいけない。
私は、このブルガーの信念の方に共感が持てた。むしろサリーのやりたいことがよくわからない。全員生き延びねばならない、この大戦が終わるまで。ナチスの勝利で戦争が終わったとして、彼らユダヤ人の生命の保証は
ない。また、サリーはそれまで数々の偽造をしてきた犯罪者で、自分以外はどうでもいいという態度だった。この心境の変化はどこから来たのか?
よくわからないまま話は進み、結局贋札作りは成功したものの時既に遅し、ナチスドイツの敗退で幕を降ろした。
物語の前後に、サリーの現在(大戦後)の映像もありますが、この描写は必要だったのか?と思ってしまう。
戦争を通して彼はどう変わったのか?カジノで描きたかったのは金に頓着しなくなったということなのか。
う~ん、謎だらけ。
主人公の心情をもっと知りたかった。そんな感想です。