鯉●

久しぶりに先輩とすれ違いました。
いつも先輩とは、すれ違うだけ。遠くから見つめるだけ。探すだけ。
今日は部室に忘れた赤ペンを取りに行こうとした3時間目の休み時間(遅)でした。
もう4校時しか残ってないし、取りに行かなくてもいいかな~って、思ったのですが、行って良かった(笑)。
部室(と言うより体育館のステージです;)は校舎の中で私の教室から一番遠い位置にあるので、小走りで階段を降り、長い廊下に出ました。
先輩が一人で向こうから来ているのは、すぐ分かりました。
印象的すぎる、つやつやの髪の色。
一ヶ月ぶりに見た姿。
相変わらず直視できない。視線合わせられない。もったいない。

すれ違ってすぐ、走行は全力疾走モードに切り替わりました。
落ち着かない心臓をもっともっと苦しめる。
途中何人かとすれ違い、行き違い、それでも速度を緩めませんでした。
体育館は卓球台が並べてあって、暗く、静かでした。
赤ペンはステージ脇の机の上にありました。

これは、何なのかな~。
恋と呼べるものなのかな。
話したこともなくて、顏と、名前と、クラスと出席番号と部活(それももう引退したハズ)しか知らない。
そう言えば声もロクに聴いたことがないなぁ…。
どこが好き、なんで好きって訊かれたら困るけど…一目惚れだからなぁ(..*)
性格とか何も知らなくて、本気で好きって有り得るのかな。
皆は純粋に、性格も判断して恋をしてるのに、今まで私もそうだったハズなのに、わからなくなってしまった。