日本の名恋●

"天満に年経る。千早降る。神にはあらぬ紙様と、世の鰐口にのるばかり。小春に深く大幣の、くさり会ふたる御注連縄。今は結ぶの神無月、堰かれて逢はれぬ身となり果てあはれ逢瀬の首尾あらば、それを二人が最後日と、名残の文の言ひかわし、毎夜毎夜の死覚悟。玉しゐ抜けてとぼとぼうかうか身を焦がす。"
心中天網島 河庄の段/近松門左衛門

心中天網島では「名残の橋づくし」と、この「北新地河庄の段」がすきです。
切ない。