はらぺこ●

時間の潰し方を知らなかった頃は、1日がとても長かった。
そしてその長さが至福だったように感じる。
今は時間潰しの方法を心得てしまった故に、1日がとても短い。
気がつくとお腹がすいている。
明日に急かされている。
次の季節が忍び寄る気配が怖い。
何度も乗り過ごした。
濃度の濃い日々。
でもね、何故か密度は希薄に感じるのだ。
スポンジに染み込ませた甘いシロップが、同じようにタラタラと流れていって、またスカスカのスポンジケーキに戻るような、そんな日々を過ごしているような気がするのだ。
私はたぶんお腹がすいたらそのちょっとベタベタになったスポンジを食べる。
1日が暮れていく様を、明日の自分を不安になりながら。
今日は電車乗り過ごさなかったよ。